vol.4
竹の声、川の声を聞ける子どもを育てたい。
吉野川の竹を通して、自然とともに生きる町づくりを。
竹の声、川の声を聞ける子どもを育てたい。
吉野川の竹を通して、自然とともに生きる町づくりを。
寺院が立ち並び、ミニ古都の趣ある美馬市美馬町寺町界隈。その町並みのなか、ひときわ立派な佇まいの古刹が安楽寺です。平成29年(2017)8月には、この安楽寺で日本三大河川シンポジウムが開催されました。準備・運営を取り仕切っていたのは、おなじみの袈裟姿の千葉昭彦さん。安楽寺住職にして、美馬町まちづくり委員会「美馬未来塾」委員長、美馬市水辺の楽校運営協議会会長、NPO法人美馬体験交流の会理事などを務める地域のリーダー的存在です。
みずみずしい緑の竹林は、吉野川中流域を代表する景観です。この竹林は「緑の堤防」として植えられた水防竹林でした。「吉野川の真竹は、ゆがみが少なく品質がよいことから、物差しや和傘の材料になりました。竹は農具や生活用具作りに必需品で、人々は竹林を大切にしていました」と千葉さん。しかし、時代とともに生活から竹が消え、竹林は荒れ放題に……。千葉さんは竹が悲鳴を上げているように感じました。
安楽寺で開催された「日本三大河川シンポジウム」。厳かな雰囲気が漂います |
年末恒例の寺町のライトアップ。 吉野川の竹を切り出し、500本の竹灯籠を制作します |
「竹の持つ力を引き出し、竹に笑顔を取り戻してもらおう」と、美馬未来塾では、竹細工教室や竹垣講習会など、吉野川の竹を利用した町づくりに取り組んできました。なかでも、竹灯籠による寺町のライトアップは20年以上続いており、すっかり年末の風物詩となっています。竹が人の役に立ち、人々から感謝される。それは竹にとってもうれしいこと。自然との共生は、お互いに「ありがとう」という言葉で結ばれることだと千葉さんは語ります。
美馬市水辺の楽校運営協議会では、平成20年(2008)年から、地元の小学生とともに吉野川河川敷に桜を植樹しています。桜の成長を見守ることで、ふるさとに愛情を持ってもらい、吉野川に親しんでほしい|。そんな願いを込めて、苗木には、里親となる子ども達の名入りのプレートが添えられています。
川辺の桜並木に花が咲く春はもうすぐです。地元の子どもたちによる桜の植樹 |