2021年4月2日金曜日

ニュースレター 〜若い世代からのメッセージ〜 Vol.3

上流と下流で
全く違う表情を見せてくれる
吉野川の魅力を伝えていきたい


ニュースレター 〜若い世代からのメッセージ〜
【Vol.3】
徳島県水管理政策課 主事 桑村 美月さん


 私は、現在徳島県職員として吉野川に関わる仕事をしています。
具体的には、吉野川交流推進会議の担当として、「まるごと吉野川“魅力再発見”講座」や「交流体験in 吉野川」など、吉野川に関わる講座やイベントの企画・運営を行っています。
 子どもの頃は、吉野川の支川である鮎喰川などで遊んだ記憶はあるものの、吉野川に関する思い出は少なく、車で橋を渡る時にいつも「広い川だなぁ」と思うくらいでした。
 そんな私が、現在の仕事を始めて、吉野川をテーマとした講座やイベントの企画・運営をすることになり、治水や文化、環境など様々な角度から吉野川を学ぶ日々を送っています。
 昔は「暴れ川」と呼ばれ、毎年のように大きな洪水が発生していた半面、その洪水によりもたらされた肥沃な土により、藍作が栄えたこと、現在では、ラフティングや「ひょうたん島クルーズ」など、レジャーの中心になっていること等々、それぞれの時代ごとに吉野川と徳島が深く結びついている、という事を実感していく中で、徳島県民として、地元に吉野川があることを誇らしく思うようになりました。
 また、上流と下流で全く違う表情を見せてくれるところに、吉野川の一番の魅力を感じています。下流は、吉野川を初めて見た人のほとんどが驚くほどの川幅があり、海のようにゆったりした流れですが、上流は険しい渓谷など、自然豊かな場所が数多く残っています。このような、全く別の顔を持つ上流と下流が繋がり、ひとつの大河川となっている事が、とっても面白くて魅力的な川だな、と思います。
 これからも、様々な講座やイベントの企画・運営を通して、地元の誇りである吉野川の魅力を広く伝えていく手助けをしていきたいです。
 最後になりましたが、若い世代の人たちには、どんな側面でもいいので吉野川に興味を持ってほしいと思います。そして、一緒に豊かな吉野川を守り、未来に繋いでいきたいです。

7月~ 8月に実施した「交流体験in 吉野川」。上流、中流、
下流で実施する内容を変えています。中流(写真上)では、
カヌー体験、下流(写真下)では川魚の観察会を行いました


vol.4 美馬市水辺の楽校運営協議会会長 千葉昭彦さん

vol.4
竹の声、川の声を聞ける子どもを育てたい。
吉野川の竹を通して、自然とともに生きる町づくりを。


寺院が立ち並び、ミニ古都の趣ある美馬市美馬町寺町界隈。その町並みのなか、ひときわ立派な佇まいの古刹が安楽寺です。平成29年(2017)8月には、この安楽寺で日本三大河川シンポジウムが開催されました。準備・運営を取り仕切っていたのは、おなじみの袈裟姿の千葉昭彦さん。安楽寺住職にして、美馬町まちづくり委員会「美馬未来塾」委員長、美馬市水辺の楽校運営協議会会長、NPO法人美馬体験交流の会理事などを務める地域のリーダー的存在です。
みずみずしい緑の竹林は、吉野川中流域を代表する景観です。この竹林は「緑の堤防」として植えられた水防竹林でした。「吉野川の真竹は、ゆがみが少なく品質がよいことから、物差しや和傘の材料になりました。竹は農具や生活用具作りに必需品で、人々は竹林を大切にしていました」と千葉さん。しかし、時代とともに生活から竹が消え、竹林は荒れ放題に……。千葉さんは竹が悲鳴を上げているように感じました。

安楽寺で開催された「日本三大河川シンポジウム」。厳かな雰囲気が漂います

年末恒例の寺町のライトアップ。
吉野川の竹を切り出し、500本の竹灯籠を制作します

「竹の持つ力を引き出し、竹に笑顔を取り戻してもらおう」と、美馬未来塾では、竹細工教室や竹垣講習会など、吉野川の竹を利用した町づくりに取り組んできました。なかでも、竹灯籠による寺町のライトアップは20年以上続いており、すっかり年末の風物詩となっています。竹が人の役に立ち、人々から感謝される。それは竹にとってもうれしいこと。自然との共生は、お互いに「ありがとう」という言葉で結ばれることだと千葉さんは語ります。

美馬市水辺の楽校運営協議会では、平成20年(2008)年から、地元の小学生とともに吉野川河川敷に桜を植樹しています。桜の成長を見守ることで、ふるさとに愛情を持ってもらい、吉野川に親しんでほしい|。そんな願いを込めて、苗木には、里親となる子ども達の名入りのプレートが添えられています。
川辺の桜並木に花が咲く春はもうすぐです。


地元の子どもたちによる桜の植樹