2020年4月16日木曜日

vol.3 吉野川流域交流塾 塾長 大谷 國廣さん

vol.3
川を美しくするにはまず上流から。
活動は地域、世代をこえて広がる。 川の流れのように。

美しい水を下流に送るのは上流の責任
「住民と自治体との垣根を越えた県活性化の『源流』に」――そんな壮大な願いを込めて、平成元年(1989)、「吉野川流域交流塾」を立ち上げました。早いもので30年以上になりますね。講演会、水上イベント、ステッカーの配布など、さまざまな活動をしてきましたが、原点は河川清掃です。
 きっかけは平成2年(1990)、三好町と三加茂町(どちらも現・東みよし町)を結ぶ三三大橋の開通イベントでのことです。橋の開通を祝って、両町民による綱引き、橋の長さの餅つき、橋上結婚式などさまざまな企画を開催しました。その時に橋の上から吉野川を見たら、ゴミがいっぱいだったのです。
 私が生まれ育ったのは東みよし町昼間。名勝・美濃田の淵からも近く、吉野川で泳いだり、カニや魚を追いかけたりして、川とともに育ちました。家が農家だったので、水の大切さも幼い頃から身にしみています。その命の川がいつの間にかこんなに汚れている……。当時は環境保全の意識がまだ低く、ゴミを川に捨てる人が多かったんです。下流にこんな水を流してはいけない、この川をなんとかしよう!と決意しました。
 以来、毎年7月の第1日曜を「吉野川の日」と決め、地域の人々に呼びかけて河川清掃をしています。平成13年(2001)には、この取り組みをもっと大きな流れにしようと、三好郡(現 三好市、東みよし町)8町村の住民、10以上の団体とともに「四国三郎上流域ネットワーク『三郎の会』」(大谷國廣会長)を結成。今では、吉野川の日の清掃活動にたくさんの「三郎仲間」が集うようになりました。一度掃除した人はゴミを捨てなくなります。きれいな川がもどってきました。

千五百河原に咲き誇る菜の花。 10 月に種をまいて、3月にお花見清掃
行います。満開の菜の花を愛でながらの清掃はなかなか楽しいものです

吉野川流域交流塾のスローガンは「やさしく愛して吉野川」。やさしく、楽しく、笑顔でないと活動は長続きしません。塾では、池田ダム下流の千五百河原に菜の花を植えています。春には一面の菜の花のなか、河川清掃を行い、その後はお楽しみのバーベキュー。地域の子ども達やお年寄り、時には下流から河川清掃団体が合流することもあります。菜の花の種が吉野川の流れにのって、下流で根付き、花を咲かせる……そんなふうに私達の活動がゆっくりと下流へと広がって、大河になってくれるといいなと思っています。



吉野川上流域の自然、歴史、文化がこの1冊に。
ネットワークを総動員して編纂した「川と人々の歴史」
(平成15年四国三郎上流域ネットワーク「三郎の会」刊)


平成4年には吉野川の筏流しを復元。
スローガンを掲げて流域を下りました。
「吉野川の日」の河川清掃。
「美しい吉野川をもっときれいに!」
年々参加者は増え続けています