2026年4月9日木曜日

機関誌「四国三郎吉野川」vol.44を発行しました。


是非お手にとってご覧ください。 機関誌のページでもご覧いただけます。

この⼈と吉野川Vol.9
阿南⼯業⾼等専⾨学校 教授 森⼭ 卓郎 (もりやま たくろう)さん

vol.9
橋を通じて地域の⽂化と技術を次世代に伝えたい——
橋をこよなく愛し、布橋活動をする“徳島の宣橋師”
阿南⼯業⾼等専⾨学校 教授
森⼭ 卓郎さん

 「TBK48総選挙」——昨夏、地元新聞やテレビなどで話題になっていましたね。皆さん、「推 し」に投票しましたか? 「TBK」は徳島ブリッジかるたの略。この仕掛け⼈が、「徳島の宣橋 師」こと、阿南⼯業⾼等専⾨学校創造技術⼯学科教授の森⼭卓郎さんです。
森⼭さんは千葉県出⾝。幼い頃は鉄道が⼤好きで、⾞掌になるのが夢でした。鉄道の写真を撮る うちに、いつしか興味は鉄橋へと。そして、⼤学⽣の時に、その後の⼈⽣を決定づける出会いがあ りました。「完成したばかりの瀬⼾⼤橋を⾒に⾏ったんです。岡⼭県の鷲⽻⼭から⾒た橋の構造美 に⼼を奪われました」。
⼤学院で橋の耐震化などを研究し、平成12年(2000)に阿南⾼専に赴任。設計の基礎となる構造 ⼒学や橋の耐震化対策などを学⽣に指導しています。
「徳島県は⾯積のわりに川が多く、そこに吉野川橋からかずら橋まで、⼤きさ、素材、構造などバ ラエティに富んだ橋が架かっている。とても魅⼒的」と語る森⼭さん。⼦ども達にその魅⼒をPR し、もっと橋に興味を持ってもらおうと令和3年(2021)、⼩中学⽣向けに「徳島の橋かるた」を 制作しました。県内48橋の写真を印刷した絵札と、紹介⽂を記した読み札が48組のセットになって います。「全県版」「吉野川版」などこれまでに4シリーズを制作し、累計約2700セットを無料配 布。クリアファイルやカレンダーも制作しました。反響は⼤きく、いずれもあっという間に品切れ になったとか。
「TBK48総選挙」は、これまでの活動の⼀区切りとして企画。かるたに登場した160橋から県⺠の もっとも好きな橋を決める総選挙です。インターネットなどで投票を⾏い、10⽉に結果が発表され ました。総得票数426票、うち33票を獲得し1位に輝いたのは、森⼭さんの「推し」の吉野川橋。 納得の結果ですね。
「かるたや総選挙で橋に興味を持ったら、実際に⾒に⾏って橋の魅⼒を感じてほしい」と森⼭さ ん。まだまだ布橋活動は続きます。
 
「徳島の橋かるた48 橋」。
吉野川版と、全県版3種の全部で4 種類あります


「橋のかるた」を使った出前授業。
「眉⼭との組み合わせは〜 これぞ徳島と⾔うべき⾵景の〜」
「ハイ!」そう、吉野川橋です


橋のかるたのファンから、胸アツなおたよりが届きます。
橋への思いが伝わってきますね

ニュースレター 〜若い世代からのメッセージ〜 Vol.8

「吉野川には徳島の日常がある」
四国大学 経営情報学部
秋山 紗花(あきやま さやか)さん 

 私にとって「川」は、ただの自然ではありません。幼い頃、家族と訪れた穴吹川や三好市でのラフティン グ、カヌーツアー。その記憶は今も鮮やかに残っています。弟の野球を応援するために河川敷へ足を運 んだことも、私の日常の一部でした。
 川へ行くと、心がスッと解き放たれるような感覚になります。透明な水を眺めると「生きているなあ」と実感 し、自然の力をすぐそばに感じます。河川敷では散歩する人やスポーツを楽しむ人がいて、堤防を通っ て学校へ通う私にとっては、「ここには徳島の日常がある」と強く感じる場所です。
 大学では、吉野川がつくった中洲・善入寺島をテーマに、景観や暮らし、農業と観光の関わりなどを多 面的に調べています。昔から川遊びで感じてきた“自然の中で遊ぶ楽しさ”が原点になっています。しか し、調べるうちに吉野川水系が洪水氾濫を繰り返し、その中で命を落とした人もいたことを知りました。一 方で、川がなければ肥沃な土壌は生まれず、作物も育ちません。川は私たちの生活を支える欠かせない 存在であり、すでに私の暮らしの一部になっているのだと改めて気づきました。だからこそ、天候や水位の 変化を確認し、「慣れたつもり」にならず、慎重に自然と向き合う姿勢を大切にしたいと思います。
 また、もっと多くの人が川に興味を持つためには、子どもたちが川に触れる機会を増やすことが重要だ と思います。たとえば、年に一度だけでも地域の川で水泳をする機会を作るのはどうでしょうか。川に直接 触れることで「本当の水の怖さ」や「自然との距離感」を身体で理解でき、忘れられない体験になるはずで す。
 私にとって川は、山のミネラルを海へ運ぶ「循環の要」であり、人が生きていくための根幹を支える存在。 そして吉野川は、「THE 徳島」の風景とも言えるほど、地域の景観や文化の中心にあり続ける存在です。 これからも自然との距離感を保ちながら、吉野川がある日常を大切に過ごしていきたいと思います。